事務所の将来を変える一歩:生成AIのはじめ方 - AICPA(米国公認会計士協会)の記事から -
今日は「AICPA(米国公認会計士協会)の“How finance can get started with gen AI,” Journal of Accountancy」から小さな一歩の大切さを紹介します。
いきなり大掛かりにせず、まずは小さな“試し使い”で効果とコストを確かめましょう。
生成AIは「効率アップ+新しいチャンス」を生む
うまく使えば、日々の仕事がはかどり、事務所や会社の成長チャンスも広がります。
AIを始めるときの「6つの手順」
1) まずは「何ができるか」を知る
これまでのAI(機械学習など)は、決められた手順でデータのパターンを見つけるのが得意でした。生成AIはそこから一歩進み、「文章や資料など新しい内容」を作ることもできます。
税理士の仕事で言えば、所内メモやプレゼン資料の下書きを作る、長年分の請求書や仕入れデータを見て気づきを出す、といった用途から始められます。
2) 小さく始める
いきなり大掛かりにせず、「小さな試行」で学びをためましょう。たとえば、決算報告や経営会議向けのスライドを、データ整理からスライド作成までAIに手伝わせてみる——そんな範囲なら始めやすく、効果やコストも見えます。うまくいけば、他の業務にも広げられます。
3) ロードマップ
どの順番で導入するか、誰が関わるか、社内のルールはどうするか——を簡単でも良いので書き出します。
ポイントは、①プロジェクトの進め方、②データの扱い方のルールの更新、③職員研修、④利用ルール、⑤どのツールを使うか、⑥導入方針、まで含めること。財務・会計は「戦略の助言役・データの語り手」としての役割も強まります。ITや人事と早い段階から連携して、使い道を一緒に決めましょう。
4) 協力体制をつくる
テクノロジー部門や現場部門と、最初から一緒に動くのが近道です。大企業なら社内に専門家がいることが多いですが、中小規模なら外部の助言やベンダーもうまく使うのが現実的。プロセスの見直しや人材の学び直し(リスキリング)も、早めに計画に入れておくと進みやすくなります。
5) 「AIは万能ではない」を前提にする
AIの結果は、いつも正確とは限りません。人が作った資料と同じく、確認の仕組みを用意し、間違いがないかをチェックしましょう。最終判断には専門家としての目を必ず入れる——この基本を守るほど、AIは“頼れる道具”になります。
6) データの「量」と「質」を整える
AIは、十分なデータがあってこそ本領を発揮します。データがバラバラに散らばっていたり、粒度が粗かったり、量が少なかったりすると、偏った結論になったり、精度が落ちたりします。まずは、会計データにアクセスしやすく、使いやすい状態をつくることを「戦略課題」として優先しましょう。
さいごに
手順やルールを先につくっておけば、導入はぐっと楽になります。「様子見」はやめて、一歩踏み出す時期です。