海外レポート:Thomson Reuters「How will AI affect accounting jobs?」から見る会計・税務の未来
「AIがすごいのは分かるけど、結局、税理士の仕事にはどう影響するの?」 きっと多くの方がそう感じていると思います。
今日は、税務・会計のプロ向けに発表されたレポート【Thomson Reuters Tax & Accounting「How will AI affect accounting jobs?」】(2025年6月10日) から、今起きている変化/これから起こりそうなこと/私たちが準備しておきたいこと を記載してみました。
注目!
生成AI(GenAI)の利用率は2025年に21%へ(1年前は8%だったのに一気に増加!)
4つに1つの税務事務所が導入を計画していて、従業員の半数以上(52%)はプライベートでもAIを使っている。
雰囲気はポジティブで、68%が「期待」「希望」と答えている。
人気の使い道は、①税務リサーチ ②申告書作成 ③税務アドバイス ④会計・記帳 ⑤文書の要約。
働き方はどう変わる?
世界経済フォーラム(WEF)は、経理や簿記、給与計算といった事務系の仕事は今後5年で「減少スピードが速い職種の7位」になると予測しています。
ただし、いきなり仕事がなくなるわけではありません。46%の人は「AIは雇用に多少の脅威」と考えている一方で、「結論はこれから数年〜数十年かけて見極める段階」と冷静に見ているのです。
そして、戦略立案・複雑な分析・経営の意思決定・お客様とのコミュニケーションといった領域は、やはり人にしかできない強みとして残っていきます。
AIが得意なこと/人が得意なこと
AIに向いているのは:データ入力、自動仕訳、請求書処理、レポート作成などの“コツコツ系”仕事。
人にしかできないのは:高度な税務アドバイス、経営判断のサポート、数字を物語として伝える力、そして何よりお客様との信頼関係づくり。
実際、71%の専門家が「GenAIは積極的に使うべき」と回答。つまり、AIで時間を生み出して、人にしかできない仕事に注力するのが基本戦略と言えそうです。
税理士にとってのヒント
定型業務は徹底的に自動化:記帳・照合・要約・申告書作成はAIやRPAへ。人はレビューと例外対応を担当。
空いた時間は価値ある業務へ:アドバイザリーや経営支援、数字をわかりやすく物語にする仕事に振り向ける。
スキル戦略を更新:AIリテラシーを育て、倫理・品質のルールを明確にする。
導入のコツ:①小さく始める(ユースケースを絞る) ②今の業務を数値化 ③試行(PoC)から広げる ④ガイドラインと教育を同時進行。
AIに任せられる部分が増えて、余裕が生まれたら、その分、“得意なこと”にもっと集中できるようになります。「AIと一緒に働く」って、ワクワクと不安が入り混じりますよね…